REIWAに「弥栄!」

    平成の30年間、サラリーマンとして仕事に生きてきました。 REIWAに入って生き様を見直しながら日々、雑感したことを書き連ねます。

原油価格がマイナスになった理由 〜フリーエネルギー発見?〜  

今日は石油のお話をしたいと思います。

WTIの価格がマイナスになったとニュースを賑わせていますが、原油価格を長年見てきた私もこのようなケースは初めて見ました。

この原因を考えてみたいと思います。

 

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マイナスとなった原油先物は「原油先物5月限(ごがつぎり)」と言って、5月1日から5月31日までに、原油の受け渡しをする際の原油の価格です。

下の表のMAY20が「5月限」の5月17日と20日の価格となります。その下の行にJUN20, JUL20とありますがこれが、6月限、7月限の価格のことで、6月限は6月1日から30日に受け渡しを行う原油の価格、7月限は7月1日方31日に受け渡しを行う原油の価格となります。

NYMEX WTI   
Month 20-Apr-20 17-Apr-20
MAY 20 -37.63 18.27
JUN 20 20.43   25.03
JUL 20 26.28 29.42
AUG 20 28.51 31.20
SEP 20 29.84 32.08
OCT 20 30.81 32.71
NOV 20 31.66 33.30
DEC 20 32.41 33.82

 

 ここで、金儲けが好きな人は、この表を見て「未来の原油の価格(専門用語では期先の価格)の方が高い」ことに気づきます。

この状態をコンタンゴと呼びますが、例えば4月20日の時点で、5月に受け渡しをする原油を$-37.63/BBLで購入して、一ヶ月間タンクに貯蔵しておいて、6月の受け渡しで売ると$20.43/BBLで販売することができることがわかります。

従って、理論的には20.43-(-37.43)=$58.06/BBLの利益が確定できる計算になります。

BBL(バーレル)という単位は樽の容量からきているので、概ね158Lとなりますが、樽一杯分の原油を一ヶ月保管すれば$58稼ぐことができることを示していますが、上記先物取引の単位は1,000BBL(158,000L=158KL)なので$58,000の稼ぎとなります・・・

 

ですので、この理論的な計算を実現するために、

5月に受け渡しされる原油をタンクに保管するスペースさえあれば上の計算と通りの利益を得ることが可能なはずです。

 

では、タンクのスペースはあるのでしょうか?

2020年3月末の世界の原油在庫量と最大貯蔵能力の比較です。

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見ていただく通り、3月末の米国の原油在庫はすでに例年より高くなっています。

これは3月に入って、コンタンゴ状態が大きかったことから、すでにタンクを使って原油を溜め込もうとしている銭ゲバさんが存在していることがわかります。

この状況が、4月に入っても継続していているはずですので、5.19億バーレルの在庫は更に積み上がっていてスペースの確保が難しくなっているはずです。

結局、4月末に入ってタンクのスペースを使って5月限の原油を保管しようとした投機家が、不幸にもタンクのスペースを確保できず、泣く泣く金を支払って5月限の原油を売ったのが、今回の真相かと思っています。

銭ゲバは最後にババを引かされることがあるということですね。

 

でも、日本のタンクの空き状況は全く逆をいっていますが、日本は石油製品をコストベースに精製費を乗せて販売している、いわゆる安定供給を重視しているので、こうした状況でも関係なく意図的に原油を積み上げたりはしないということがわかります。

 

今回のコロナ問題で経済活動が停滞しているので、産油国は需要に合わせた供給体制(要するに大量の減産)にしないとこうした状況は今後も何度か発生するかもしれませんね。

 

ということで、見出しに書いた「フリーエネルギー発見?」の件ですが、今回は残念ながら発見されたためではないと考えてよかろうと思います。

 

 

弥栄